美術工芸京都造形芸術大学 芸術学部 美術工芸学科

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Department of Fine and Applied Arts, Kyoto University of Art and Design

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ホーム > ハイスクール虎の穴 > 「答え」と「答えのないもの」/笑いとアート

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「答え」と「答えのないもの」/笑いとアート

  • 2011/01/21 13:24
  • ハイスクール虎の穴

皆様、明けましておめでとうございます。

1月以内だからセーフですよ…ね?(笑)

 

現代美術コースの唐鎌です。

 

 

さて、年末年始。

実はこの時期、私にとってウキウキする時期でもあるんです。

何故かというと‥

 

お笑い番組がいつも以上に増えるから。

 

お笑いがものすご~く大好きな私にとって、

毎年年末年始はとても幸せな時期でもあるのです(笑)。

 

 

そんな数あるお笑い番組の中でも、観るのを特に楽しみにしていたのが「IPPONグランプリ」。

 

「IPPONグランプリ」とはその名の通り、10組の芸人さん達が「一本」を勝ち取るために大喜利で競っていく番組です。

深夜の頃から大好きで観ていたのですが、今回から全国ネットになったという事で、何とゴールデンに!

やっぱり番組は成長していきますね…。

 

そんな訳でワクワクしながら観ていたのですが、

冒頭でのある言葉が私の心にひっかかったのです。

 

それが大会チェアマンである、ダウンタウン・松本人志さんのこの言葉。

 

 

「あのー、何か僕ちょっと感動しているんですよ。皆が一生懸命馬鹿な事を考えると。

えー世の中にはいっぱい、こうクイズ番組とかありますけど、クイズ番組には答えがあるじゃないですか。

でもこの答えのない事に一生懸命考えるという、この、この馬鹿馬鹿しさがですね、

僕はもう非常に感動を覚えるなぁと思うんですよ。」

 

 

松本さんのおっしゃる通り、最近本当にクイズ番組というものが多いです。

もちろん、クイズ番組って悪いものじゃないと思うんです。

クイズのために仕事の合間に勉強をし続けるタレントさんは素晴らしいと思いますし、

その姿に背中を押されて勉強をしよう!とやる気を出す人達が増えているかもしれないし。

そう考えて言ってしまえば、全てのテレビ番組がクイズ番組になってしまっても良いぐらいです。

 

ただ、それだと何だか納得いかない。

 

それは自分がお笑いを好きだから、という理由だけではないような気がします。

じゃあ、私はなぜそう思うのか?

 

そう考え、クイズ番組ばかりで溢れてしまう世の中を想像した時、

「『答えのないもの』を目の前にし、戸惑う人達」

が、パッと浮かんできました。

 

テレビ番組というものは、世の中と密接に繋がっているものだと思うんですね。

だからこそ、影響力が大きい。

その影響力の中で、クイズ番組における「答えのあるものを追いかける」という行為ばかりを観ていたら、

「全てのものには答えがあるものだ」

そんな事を無意識に思い込んでしまうのでは、と私は感じてしまうのです。

 

皆さんも日々を送る中で時々感じると思いますが、

世の中って案外「答え」が出ない事って多いんですね。

「答え」が出ないからこそ、

今もまだ争い続けている事、悩み続けている事、悲しみ続けている事…多くの事があります。

 

そんな世の中で、もしもすり込まれた思い込みばかりが溢れていたら。

 

もし、クイズ番組というものが、私が考えている通りの働きを少しでもしていたら、それが積み重なりつつあったら…

世の中の動きはどうなってしまうでしょう?

 

(もちろん最近は不況の煽りもあり、コント番組のセットを組めるほどのお金がない、

そしてどうせテレビの影響力を使うなら、勉強ものを増やしていこうという、

私ではどうしようもできないような考えや問題があるので、飲み込まなければいけない事はあるんですが。)

 

 

 

ひとつだけ私が断言できる事。

 

それは、「答えのないものに突き進んでいった時に得る感動に勝るものはない」という事です。

 

何か物事をするにあたって、進むべき方向っていうのは何となく分かりますよね。

その方向に進むにあたり、その中に転がっているのは答えのないものだらけ。

その答えのないものに、自分はどんな風にしてもがきながら、必死になりながら立ち向かっていくのか。

そしてそんながむしゃらに歩む中で、

答えのないものに立ち向かうという、この「馬鹿馬鹿し」い行為の中で、

ごく稀に「一本!」と言われるようなものを自分で作り出す事があるのです。

自分自身で「これは馬鹿馬鹿しいのかも」と疑いながらも必死に進んでいるからこそ、

そして何より「答え」が存在しないからこそ、

答えのないものから何かを開けた時の「感動」たるや、想像では追いつかないほどのものだと感じるのです。

 

 

私は松本さんの言葉を聞いて、

「松本さんは本当にお笑いを愛しているし、

『答えのないもの』を探る価値を知っているからこそ、今もお笑いを続けているんだな」

と感じました。

追い求めていきたいと思わせる、

世の中に溢れる「答えのないもの」にはそういった魅力があるのでしょう。

 

 

ただここで誤解してほしくないのが、クイズ番組で行っているような、

「答え」というひとつの目的に進む「勉強」は、私達にとって生涯大事なものとなります。

なので、

「答えのないものに進んでいくから、答えが出る勉強は必要ない」

という考えに賛成するものではありませんし、

またこういう考えを持ってしまうのは誤りです。

(この考えはあまりにも全てをいっしょくたにして考えすぎだな、と思いますが)

 

上手く言えませんが…友人と話してるように反論するならば、「それは違うじゃん!」です(笑)。

 

「答えのないもの」が正しいと思ってるからといって、

「答え」を見つけようとする行為を徹底的に排除するというのはまた違う話ですし、その逆もまたしかりです。

 

確かに世の中には「答えのないもの」が圧倒的に多いですが(人と人が付き合っていきますから)、

「答え」に立ち向かう気持ちも、「答えのないもの」に立ち向かう気持ちも、どちらも取り去るべきではないのです。

もしかしたらそれ以前に、そう思ってしまうのならば、そのふたつをまとめて考える際、

どの範囲まで入れて考えるのかをしっかりと理解する必要があるかもしれません。

 

 

 

そしてもうひとつ。

この言葉は、

「笑いとアートには繋がる部分がある」

という私の今までの考えを、更に明確にしてくれたものでもありました。

 

今まで書いてきた「答えのないもの」に立ち向かっていく姿勢は、

美術をする人間が常に意識しなければいけないものだと思うんですね。

もちろんやる内容は違えど、

そういったものに向き合う「勇気」、そしてそれを「楽しんでしまおうと思える心」を持つ

というのは、どちらの分野でも非常に重要視される点だと感じます。

 

 

またある雑誌で、放送作家の倉本美津留さんが、ピン芸人のバカリズムさんと対談されていた時に、

「笑いとアートの橋渡しをせなあかんと思っていて。」

とおっしゃっていました。

 

長年「放送作家」という職業に就いている方が、「笑いとアートの橋渡し」について考えているという事は、

やはりお笑いと美術にはどこかで深い繋がりがあるのではないか、と思うのです。

 

その繋がりを作っているのが、「答えのないもの」に立ち向かっている点である

と私は考えているのですが、それはあくまで要素のひとつでしかありません。

もしかしたらもっと難しく、人間の脳から神経から、

あらゆるところの観察を重ねなければ解明できない繋がりかもしれないし、

逆にがっかりするぐらい単純なものばかりで作られている繋がりかもしれません。

 

今の私ではまだこの繋がりを明白にする事はできませんが、

美術をする人はこういった事を考えながらお笑いを観る

というのも、ひとつの楽しみ方かもしれません。

ひとつの「笑い」を生み出すという行為は、

私達が美術をする上で行う事と、本質的には何ら変わりがないのですから。

 

 

 

「答え」と「答えのないもの」が混ざり合っているこの世界の中で、

私は何を選択し、何を作り出す事ができるのだろう。

そして、「笑い」と「アート」はどのように繋がっているのか。

お笑い番組を観ながら流れていくまったりとした時間の中で、そう考えずにはいられませんでした。

 

 

 

 

 

 

ちなみに。

松本さんはこの言葉の後、

 

「ここ(松本さんが言った言葉)何回かこすって下さい」

 

とおっしゃって、スタッフさんやお客さんの笑いを誘っていました。

 …私も最後まで徹底してできるようにならなければ・・・

 そんな事も強く思ったのでした(笑)。

 

 

それでは。

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